2026/08/28

【第1回商品開発セミナー】「美味しい」のその先へ!商品流通のリアルとアイデア発想法を学んだ、まめっこ農産加工勉強会レポート 【第1回商品開発セミナー】
「美味しい」のその先へ!
商品流通のリアルとアイデア発想法を学んだ、
まめっこ農産加工勉強会レポート

令和8年6月17日(水)13:00より、飯島町の輝く農山村地域創造プロジェクトの一環として、「第1回 商品開発セミナー」が開催されました!

今回は株式会社キースタッフから、野口朋宏さんと松本奈々さんの2名を講師に迎えて開催。手づくりの農産加工品を「持続可能なビジネス」へとステップアップさせるため、数字のリアルからアイデアの出し方まで、中身の詰まった2本立ての講座が行われました。

「良いものができたから、とりあえず売ってみよう」の前に知っておきたい価格設計の基本と、飯島町の資源を詰め込んだワークショップの様子をわかりやすくお届けします!

参加メンバー

  • 検討会メンバー

    竹澤綾子さん(いつわ農産加工)

  • 検討会メンバー

    那須野智代美さん(味噌加工研究会)

  • 検討会メンバー

    村瀬弥生さん(味噌加工研究会)

  • 検討会メンバー

    北澤澄子さん(若葉の会)

  • 検討会メンバー

    村澤昇さん(ふるさとの味)

  • 検討会メンバー

    塩澤尚美さん(おいもちゃん)

  • 検討会メンバー

    矢澤孝子さん(おいもちゃん)

  • アドバイザー

    小林淳美さん(加工実務経験者)

  • 上伊那農業農村支援センター

    古賀恭敬さん

  • 上伊那農業農村支援センター

    片桐直樹さん

  • 上伊那農業農村支援センター

    安藤こず枝さん

  • 飯島町産業振興課

    伊藤淳さん

  • 飯島町産業振興課

    平井慎太郎さん

  • 飯島町

    岡田孝章さん

  • 株式会社和郷

    高橋義直さん

  • 専門アドバイザー

    野口朋宏さん

  • 専門アドバイザー

    松本奈々さん

  • 専門アドバイザー

    小澤明夫さん

  • 見える化担当

    三浦亮さん

全8回にわたる壮大な商品開発プロジェクトがスタート

今回から始まった「商品開発セミナー」は、なんと今年度中に「全8回」にわたって開催される本格的なプロジェクトです!

目標はズバリ、【1事業者につき1アイテムの販売を目指すこと】。 ただ机の上で勉強するだけでなく、実際に飯島町から新しいヒット商品を誕生させるための、実践的なロードマップが組まれています。

今後のワクワクするロードマップ(全8回)

  • 6月17日(水)・18(木)(第1・2回)【座学フェーズ】:現状把握、価格の付け方、商品企画の基本を固めます。

  • 8月4日(月)・5日(火)(第3・4回)【座学フェーズ】:常温で日持ちさせる科学(pHや水分活性)と、具体的な商品設計。

  • 10月6日(火)・7日(水)(第5・6回)【実習フェーズ】:実際に測定器を使って試作品をテスト!包装容器やデザインも検討します。

  • 12月10日(木)・11日(金)(第7・8回)【実習フェーズ】:テスト製造、微生物検査、そして最終的な食品表示と価格決定へ!

第1部:数字・収支から考える「正しい価格の付け方」

(講師:株式会社キースタッフ 野口朋宏 氏)

前半は、現状をしっかり把握した上での「販売戦略」と「お金(収支)」についてのお話です。

どこで売る?から逆算する、失敗しない価格設計

講義のスタートで強調されたのは、「商品を作ってから売り先を探すのではなく、売り先(販路)を決めてから商品を設計する」という大切なルールです。

売り先(販路)とは、単にお客さんに売る場所のことではなく、人・モノ・お金・情報がぐるぐる回る「作り手と消費者をつなぐ回路」です。どこで売るかによって、商品の利益や作り方そのものがガラリと変わってきます。

自社ECサイトでの安売りが招く「意外な落とし穴」

手軽に始められるネットショップ(自社EC)ですが、ここでよくある失敗パターンが紹介されました。

  • 定価1,000円の商品を、「直販だから」とネットショップで800円で売ってしまう

  • 一見、自分たちの利益はしっかり残るように思えますが……

  • これが原因で、他の小売店(道の駅やスーパーなど)との信頼関係が崩れてしまいます

  • 結果として「小売店に置いてもらえない」「販路がこれ以上広がらない」というピンチに!

価格の乱れは商品の価値を下げてしまいます。すべての売り先がハッピーになるような、戦略的な価格設定がとても重要です。

バイヤーさんはここを見てる!流通に乗せるための条件

商品を直販だけでなく、スーパーや百貨店などの「お店」に並べてもらうには、「美味しい商品」というだけではNG。しっかりと「流通できる条件」をクリアしている必要があります。

  • お店に置いてもらうための最低条件:JANコード(バーコード)、商品規格書や一括表示(原材料ラベル)の整備、ケース入数(1箱に何個入るか)の設定、商品写真、PL保険への加入。

さらに、お店のバイヤーさんは商品の採用を決めるときに、次の「3つのリスク」を厳しくチェックしています。

  1. 賞味期限(長いほど有利!):食品業界には「1/3ルール」という厳しい慣習があります(例:賞味期限が12ヶ月の場合、最初の4ヶ月以内に店に納品し、次の4ヶ月内で消費者に売らなければならない)。期限が長いほどお店側の廃棄リスクが減るため、選ばれやすくなります。

  2. 出荷ロット(少ないほど有利!):まずは少量からでも仕入れられる商品の方が、お店側も扱いやすいです。

  3. 価格(手頃なほど有利!):ライバル商品と並んだときに、ちゃんと買ってもらえる価格かどうかが勝負になります。

価格を決めるときは「かかった原価」から計算するのではなく、「希望小売価格(100%)⇒ お店の仕入れ価格(約70%)⇒ メーカー出荷価格(約60%)」という、流通のピラミッドから逆算していくのが鉄則です。

「きいちごドレッシング」でシミュレーション!5つの成長ステージ

具体的なイメージが湧きやすいように「きいちごドレッシング(小売価格480円)」を例に挙げて、5つの成長ステージごとのリアルな採算がお披露目されました。

  • ステージ①:手づくり・直販(イベントなどの直接販売) 【営業利益:+50円】6次産業化のスタート。きいちご代や自分のパート代のほかに、「いくら利益が残るか」を体感できるステージです。

  • ステージ②:道の駅や農産物直売所への出荷 【営業利益:+53円】お店に「置くだけ」で売ってもらえるため、配送や事務の手間(販売管理費)を半分(150円⇒75円)に抑えることができれば、手数料(15%)を払ってもステージ①より利益が出せます!

  • ステージ③:半自動製造機(カッターミキサー)の導入 【加工費:手づくり比で5円おトク】カッターミキサー(108万円)を入れることで、1本あたりの人件費が90円から25円に激減!機械の代金が乗ってもトータルで安くなります。「月に300本以上」売れるようになれば機械を入れるメリットが勝ちます。

  • ステージ④:スーパー等との取引開始(大赤字の壁) 【営業利益:▲142円(問屋さんを挟むと▲190円)】手づくりのコスト(原価280円)のままスーパーに卸すと大赤字に!価格の交渉か、劇的なコストダウンが絶対に必要です。

  • ステージ⑤:年間フル生産(大量生産のパワー) 【営業利益:+38円の黒字へ大逆転!】 1人が6時間働いて1日240本、年間約57,600本をフル生産。たくさん作ってコストを下げる「スケールメリット」が効いて初めて、スーパーなどの広い販路で利益が出せるようになります。

第2部:商品開発の流れとアイデアの考え方

(講師:株式会社キースタッフ 松本奈々 氏)

後半は、いよいよ「今年度中に新しい商品を最低1アイテムつくる」という目標に向けた、実践的な開発のプロセスとアイデア出しのワークショップです。

知っておきたい「試作・テスト製造」のリアルな失敗談

家庭のキッチンで作る「試作」と、工場や加工所で大量に作る「製造」の間には、高い壁があります。セミナーでは、よくあるリアルな失敗例が共有されました。

  • パッケージ変更の罠:「想定していた内容量が入らない」「加熱殺菌をしたら袋がへたって自立しなくなった」「口が細くて中身が出ない」「ビン同士が擦れ合ってラベルの印字が消えた」

  • 大量に作ったら大失敗:「量を多くしたらミキサーが回らない」「大きなミキサーに変えたら粉砕の度合いが変わって別物になった」「加熱殺菌の時間が長くなったら色や風味が悪くなった」

  • 原料変更で味が激変:「業務用の大容量原料や別メーカーに変えたら味が変わった」「冷凍原料を使ったらまったく違う出来上がりになった」

こうした失敗を避けるためにも、レシピの比率や製造工程、包材の選定を細かく「製品規格」としてカチッと設定していく必要があります。

加工品は「次に繋げるための強力な武器」

セミナーでは、「加工品そのもので大儲けする」だけでなく、「加工品をきっかけに、自分たちのメインの農産物を知ってもらい、買ってもらう」という素敵な工夫の事例が紹介されました。

  • キクラゲ農家さんの例:キクラゲや野菜を使った加工品を気に入ってもらい、そこから店頭のPOPやInstagramを通じて、生のキクラゲや野菜そのもののファン(リピーター)になってもらう仕組み。

  • 米農家さんの例:いきなり5kgや10kgのお米を買ってもらうのはハードルが高いもの。お米をかわいい「2合パック(300g)」にして手軽に美味しさを知ってもらい、そこから大袋の購入へ繋げるステップ設計です。

飯島町の地域資源をこれでもかと掛け合わせる!

最後は全員で、新商品のアイデアを考えるワークショップを行いました。メンバーから出された飯島町の「地域資源」のリストは、驚くほど豊富です!

  • 農畜産物:お米、アスパラ、ヤーコン、源助かぶ菜、きのこ、りんご、馬肉、そばの花など

  • 郷土料理・食文化:五平餅、くるみだれおはぎ、近所のおばちゃんのお漬物、酒かす、発酵(味噌・酢・ワイン)など

  • 風土(景観):百越の水、空・星が綺麗、ふたつのアルプス、天竜川、野生動物、ミヤマシジミ、シクラメンなど

これらの方程式(地域資源 × アイデアのもと)をパズルのように掛け合わせて、ユニークな商品形態や「誰に、どんな場面で届けたいか」をシートに埋めていきました。

 発表されたアイデアの一部をご紹介!

  • 【お米 × ドレッシング】:小さな子ども向けに、添加物を使わない安心のご褒美ドレッシング。(ただし、瓶は重くて扱いづらいというお客様の声をどう解決するかが今後の課題)

  • 【りんご × 飲むゼリー】:観光客向けのお土産として、女性だけのグループで作る、作っていて楽しい飲むゼリー。

  • 【トマト × ピクルス】:道の駅に来る人向けに、ギフト用として喜ばれるオシャレなピクルス。

作り手の趣味(サイクリングや推理小説!)をエッセンスとして加えるユニークな視点など、まめっこ加工施設からどんな新商品が飛び出すのか、今から期待が膨らむ素晴らしいワークショップとなりました!

勉強会概要

■ 基本情報

  • 日時:2026年6月17日(水)13:00〜

  • 案件:輝く農山村地域創造プロジェクト事業 まめっこ農産加工等検討委員会 勉強会

  • 講師:株式会社キースタッフ 野口朋宏 氏、松本奈々 氏

■ 今回のポイントまとめ

  1. 売り先からの逆算:作る前にどこで売るかを決める!ネットショップでの安売りは他のお店に迷惑がかかるのでNG。

  2. 流通のルール:お店に置くにはバーコード(JAN)や成分ラベルが必須。「美味しい」だけではバイヤーさんは首を縦に振ってくれません。

  3. 一歩ずつのステップアップ:最初は「直販・直売所」で手堅く利益を出し、月300本を超えたら機械を入れて効率化。年間5万本レベルで作れるようになってからスーパー等の大きな市場へ。

  4. 大量生産の罠に注意:試作から工場生産へ規模を大きくする際、「ミキサーが回らない」「加熱で色・味が変わる」といったリアルな失敗談を意識して規格を作る。

  5. 飯島の魅力を掛け算:豊富なお米やくだもの、美しい風土(アルプス、星空など)をターゲットに合わせて掛け合わせ、ストーリーのある商品をみんなで企画していく。

一覧へ

関連記事

page top
ミヤマシジミ
ミヤマシジミ
ミヤマシジミ