2026/07/06

【第2回商品開発セミナー】
「日持ちの科学」と「全国のヒット事例」から学ぶ!新商品誕生に向けた実践座学レポート
【第2回商品開発セミナー】
「日持ちの科学」と「全国のヒット事例」から学ぶ!
新商品誕生に向けた実践座学レポート

「今年度中に1事業者1アイテム、年明けの販売を目指す」という大きな目標に向けてスタートした、全8回の商品開発セミナー。記念すべきキックオフとなった昨日に続き、本日6月18日(木)に「第2回 商品開発セミナー」が開催されました!

今回は、食品を安全に常温流通させるための「科学的なアプローチ」と、全国各地で実際に生まれた「大ヒット商品の裏話」という、これまた中身の詰まった2本立て。

一歩間違えると危険な食品製造のリアルから、思わずよだれが出そうなアイデアのヒントまで、興奮のセミナーの模様をレポートします!

参加メンバー

  • 検討会メンバー

    竹澤綾子さん(いつわ農産加工)

  • 検討会メンバー

    佐々木妙子さん(いつわ農産加工)

  • 検討会メンバー

    那須野智代美さん(味噌加工研究会)

  • 検討会メンバー

    村瀬弥生さん(味噌加工研究会)

  • 検討会メンバー

    荒川みずきさん(若葉の会)

  • 検討会メンバー

    村澤昇さん(ふるさとの味)

  • 検討会メンバー

    塩澤尚美さん(おいもちゃん)

  • 検討会メンバー

    矢澤孝子さん(おいもちゃん)

  • 飯島町産業振興課

    伊藤淳さん

  • 飯島町

    岡田孝章さん

  • 株式会社和郷

    高橋義直さん

  • 専門アドバイザー

    野口朋宏さん

  • 専門アドバイザー

    松本奈々さん

  • 専門アドバイザー

    小澤明夫さん

  • 見える化担当

    三浦亮さん

第1部:身の回りの加工食品はどうして日持ちする?

(講師:株式会社キースタッフ 松本奈々 氏)

前半は、新商品を「安全に、長く美味しく届ける」ための日持ちの科学についてです

微生物がヨロコブ「4大要因」をブロックせよ!

食品が腐る原因は、目に見えない微生物(細菌・酵母・カビ)が増殖すること。彼らが大好きな「温度・酸素・水分・pH(酸度)」の4つの環境をコントロールすることが、加工の第一歩です。

  • 温度:多くの微生物は25〜40℃の中温が大好き。

  • 酸素:生きるために酸素が必要。特にカビは酸素をゼロにすればシャットアウトできます。

  • 水分:増殖には水が必要。

  • pH:酸っぱい環境(低pH)では、多くの微生物が活動できません。

保存性をコントロールする「2大指標」

食品の命を守るために、セミナーでは重要な2つのモノサシが紹介されました。

  • pH(水素イオン指数):細菌、酵母、カビにはそれぞれ活動できる「限界の酸性度」があります。かんきつ類の果汁や、お酢、クエン酸を使ってpHを下げることで、菌の増殖をピタッと止められます。

  • 水分活性(Aw):微生物が自由に使える水分の割合のこと。乾燥させて水分を飛ばすか、あるいは塩や砂糖を混ぜて水分子を捕まえる(結合水にする)ことで、微生物が使える水を無くしてしまいます。実は、砂糖よりも「塩」の方が、少ない量で効率よく数値を下げられます。

常温で届けるための「2大加熱殺菌方法」

ドレッシングやパスタソース、カレーを常温で日持ちさせる方法は、主に2つあります。

殺菌方法 特徴とメリット デメリット
①レトルト(加圧加熱殺菌) 120℃以上の高温で4分以上加熱。熱にめちゃくちゃ強い「ボツリヌス菌」まで完全に全滅させる。 高温にさらされるため、色や粘度、味が変化しやすい。
②ホットパック(低温・ボイル殺菌) 100℃以下の湯せんなどで殺菌。あらかじめpHや水分活性を低く調整しておくことで、「熱に強い菌が万が一残っても、中身の環境が過酷すぎて増殖できない状態」にして日持ちさせる。 レトルトほど何でも常温保存できるわけではない(ジャムやたれ、佃煮などに向く)。

セミナーでは、サンプルの水分活性やpHを測るための専用機器(水分活性測定器やpHメーター)も紹介され、自分の商品の数値をしっかり測ってロジカルに安全性を設計していく大切さを学びました。

第2部:全国の現場から学ぶ、商品開発の実践事例

(講師:株式会社キースタッフ 野口朋宏 氏)

後半の第2部では、第一部で学んだ科学的根拠(pHや水分活性のコントロール)をベースに、全国各地の地域農業や6次産業化の現場で実際に形にしてきた、具体的かつ実践的な開発事例が紹介されました

「美味しい料理」と「流通させる商品」の違い

「厨房で美味しい一皿を作ること」と「それをボトルや袋に詰めて、常温で安全に流通させること」は、全く別の技術です。

100年以上の歴史を持つ高名な老舗レストランの事例が紹介されました。厨房で腕を振るうプロの料理人たちであっても、長期間常温で品質を保つための「保存・殺菌の科学」は専門外。そこでキースタッフが、老舗の変わらぬ味をそのまま全国へ届けるための品質管理と、実習指導を丁寧に行った実績が語られました。 プロの味を「事業」として外へ広げていくためには、科学的なアプローチによる後ろ盾が不可欠であるという、非常に説得力のあるお話でした。

小さな農家グループが、初年度で1万本を達成したドレッシング

ある地域の農家グループ(10名)が挑戦した、ドレッシング開発の大成功事例も共有されました。 野口氏のアドバイスのもと、地域の資源を活かしたドレッシングを開発したところ、初年度で1万本(売上500万円)を達成。メンバー1人あたり50万円の確かな売上となり、自分たちの手で事業を成り立たせる喜びと、持続可能な地域農業への大きな足がかりとなったそうです。 (※キースタッフでも、自社の技術と姿勢を伝えるため、オリジナルドレッシングを3種開発し、大切な方々へのご挨拶として長年贈答用に活用されている事例も紹介されました)

「地域のプロ」や「確かな技術」を掛け合わせる工夫

プロジェクターには、これまでに全国各地の生産者とともに生み出してきた、誠実で美しいパッケージの商品たちが次々と映し出されました。

  • 地元のシェフとの連携:農家が自らレシピに悩むのではなく、地域の料理人にレシピ監修を依頼し、間違いのない味を追求したドレッシング。

  • 専門工場での再現:飲食店で愛されている完成されたカレーの味を、優れた加工技術を持つ工場へ持ち込み、寸分違わぬクオリティで再現したレトルトカレー。

  • 地域資源を無駄なく活かす:特産である柑橘類の果皮を有効活用した葛湯、地域の農水産物を組み合わせたふりかけやオイル漬け、しいたけを活用したおかず味噌、本格的なパスタソースなど。

ゼロからすべてを自分たちで抱え込むのではなく、地域のプロや、確かな技術を持つ加工工場と実直に手をつなぎ、お互いの強みを掛け合わせることこそが開発の王道であると示されました。

求められる安心・安全と、新たな市場の可能性

さらに、視野を広げる提案として「ペットフード」の開発事例も挙げられました。 家族の一員であるペット向けの商品は、人間用と同じ、あるいはそれ以上に安心・安全な品質設計が求められます。だからこそ、生産者の顔が見える確かな原材料を使い、科学的に正しく作られたフードは、高い価値を認めてもらいやすいという側面があります。 固定観念にとらわれず、自分たちの農産物が「誰に、どのような価値として届けられるか」を実直に突き詰めていくことの重要性が語られました。

勉強会概要

■ 基本情報

  • 日時:2026年6月18日(木)9:00〜11:30(image_24)

  • 内容:第2回商品開発セミナー 【第一部】身の回りの加工食品はどうして日持ちする?(講師:松本奈々 氏) 【第二部】全国の商品開発事例紹介(講師:野口朋宏 氏)

■ 今回のポイントまとめ

  1. 「4大要因」をコントロールする:微生物が嫌う「温度・酸素・水分・低pH」の環境をいかに作るかが日持ちの基本(image_26)。

  2. 2つの指標を抑える:お酢やクエン酸で「pH」を下げ(image_28)、塩や砂糖で「水分活性」を下げることで、菌が増殖できない過酷な環境を中身に作る(image_27)。

  3. 殺菌方法の使い分け:何でも120℃でレトルト殺菌するのではなく、中身のpHを低く抑えることで、100℃以下の「ホットパック殺菌」でも十分に常温流通が可能になる(image_29)。

  4. 地元のプロや他地域とつながる:美味しいレシピは地元のシェフに頼んだり、他地域の特産品とコラボ(ローカル×ローカル)させることで、一歩進んだ商品開発ができる。

  5. 加工品で可能性を広げる:ドレッシング、カレー、パスタソースから、高単価なペットフードまで(image_33, image34)、科学の力をベースにすれば、飯島町の資源は無限のヒット商品に化ける!

一覧へ

page top
ミヤマシジミ
ミヤマシジミ
ミヤマシジミ