2026/09/17

【第4回商品開発セミナー】
商品の魅力を伝え、品質と安全を守る!
パッケージデザインと包材・賞味期限の基本
【第4回商品開発セミナー】
商品の魅力を伝え、品質と安全を守る!
パッケージデザインと包材・賞味期限の基本

飯島町の特産品を活かした「1事業者1アイテムの新商品開発・ブラッシュアップ」を目指す事業者へ向け、専門家を招いた「商品開発セミナー」が開催されました。

今回のセミナーは、前半にデザイナーによる「ブランディングとパッケージデザイン」、後半に食品技術担当による「包材の選び方と賞味期限の決め方」を学ぶ実践的な二部構成で行われました。

商品の見せ方・届け方から、品質を担保する出口戦略、そして専門家による手厚い伴走サポートまで、商品化に直結する生きたノウハウが惜しみなく共有された当日の講義内容を、余すところなくご報告いたします。

参加メンバー

  • 検討会メンバー

    竹澤綾子さん(いつわ農産加工)

  • 検討会メンバー

    那須野智代美さん(味噌加工研究会)

  • 検討会メンバー

    村瀬弥生さん(味噌加工研究会)

  • 検討会メンバー

    村澤昇さん(ふるさとの味)

  • 検討会メンバー

    塩澤尚美さん(おいもちゃん)

  • 検討会メンバー

    矢澤孝子さん(おいもちゃん)

  • 飯島町

    伊藤淳さん

  • 飯島町

    岡田孝章さん

  • 株式会社和郷

    高橋義直さん

  • 株式会社和郷

    角田さやかさん

  • 専門アドバイザー

    野口朋宏さん

  • 専門アドバイザー

    松本奈々さん

  • 専門アドバイザー

    小澤明夫さん

前半:ブランディングとパッケージデザイン

商品は「モノ×ストーリー×ブランドデザイン」の三位一体

商品は「ただ美味しい(モノ)」というだけでは売れ続けることは難しく、「ストーリー」と「ブランドデザイン」が揃って初めて、一度買ってくれたお客様(トライアルユーザー)が継続的なファンへと育っていきます。デザインとは、限られたパッケージの面積で情報を正確に届ける「情報発信ツール」であり、地域資源の掘り起こしが企画の第一歩となります。

実践事例から学ぶコンセプト設計とネーミング

講義では、実際の開発プロセスや裏話が豊富な事例とともに紹介されました。

  • 寿製菓「山陰やおよろず本舗」:価格帯や狙うマーケットのコンセプト設計を徹底。「9月にオープンの神さま」というキャラクター設定のもと、海・大地・湖などのモチーフをアイコン化し、幅広い商品群を統一デザインで展開しました。また、お客様にとっての「呼びやすさ・見やすさ・キャッチーさ」を重視したネーミングの決定プロセスも共有されました。

  • 満乃食「小川原湖カニ油」や三重県「イーナバリ」:地域の恵みを写真映えするパッケージで表現し、和のクラシカルなラベルで高級感を演出する手法などが紹介されました。

売り場を想像するデザインと実践的テクニック

自社でデザインや販売戦略を考える際の具体的なテクニックも伝授されました。

  • 売り場の徹底観察:都内の高級スーパー(ナチュラルローソン等)に実際に立ち続け、「どんなお客様が、カゴに何を入れて、いくら使うか」を観察したエピソードを紹介。「お土産屋で売るのか、日常のスーパーのサラダコーナーの横に置くのか」で、商品の見せ方や適切な価格設定(例:650円から880円への価値向上)は大きく変わることが語られました。

  • フォントと文字の工夫:あえて「利き手ではない手」で筆文字を書くことで、整いすぎない独特の“味”や“手作り感”を出すプロの手法。

  • AIツールの積極的活用:現在、プロのデザイン現場でもChatGPTや、デザインソフト(Illustrator)に組み込まれたAIが当たり前に活用されています。「AIを使って商品説明のベースを作ったり、デザインのイメージを生成したりすることは、これからの時代において強力な武器になる。難しく考えず、ぜひ使いこなしてハードルを下げてほしい」とアドバイスがありました。

次回への課題「デザイン企画シート」

商品開発の第一歩として、10月の次回セミナーまでに「デザイン企画シート」を埋めて提出する課題が提示されました。特にお客様の目に触れる「商品名」「屋号・ブランドロゴ」「キャッチコピー」の3点と、情報発信の核となる「商品コンセプト・ストーリー」を最初に固めきることが成功の鍵となります。

後半:包材の選び方と賞味期限の決め方

実物で学ぶ「包材選びの2大ポイント」

講義では、瓶やスパウトパウチ、フィルム袋などの多種多様な包材サンプルが提示され、仕様や扱い方についての具体的な説明が行われました。包材を選ぶ際は、以下の2つの視点が不可欠です

  • どんな商品にしたいか(デザイン・用途):包材はデザインの一部です。通信販売用であれば送料を安く抑えるために「クリックポスト」に対応した厚さの箱を選んだり、あえて「お米をペットボトルに入れる」「ジャムを化粧品のような容器に入れる」「新聞紙で包む」など、セオリーを外して目を引くパッケージにするアイデアも紹介されました。

  • 製造上の制約はあるか(機能・条件):加熱殺菌の有無、充填方法、中身の物性、保存方法(常温・冷蔵・冷凍)といった条件によって、使用できる包材の材質や耐熱性が制限されます。例えば、瓶の蓋は種類によって耐熱温度が低く、加熱殺菌に向かないものがあることや、スパウトパウチは匂い移りがしやすいためニンニク等の香りが強い商品には不向きであることなど、現場ならではの注意点が語られました。

包材には「保つ(品質保持)」「運ぶ(強度)」「並べる(陳列のしやすさ)」「伝える(食品表示・デザイン)」「使う(開けやすさ)」という5つの重要な役割があり、商品の特性を正しく知って材質や形状を選ぶことが大切です

現場の裏技:充填の工夫

口の細いパウチ(1.6cm等)にドロドロのペーストを充填する際、機械がなくても「ソーセージ用の口金とジップロックを組み合わせて絞り袋のように使う」ことで、口を汚さずに素早く手作業で充填できる裏技も共有され、参加者は熱心に耳を傾けていました。

消費期限と賞味期限の違い

食品の期限表示には明確な違いがあり、製品を一番よく知る「製造者」が責任を持って設定します

  • 消費期限:弁当や生菓子など、品質の劣化が早い食品に表示されます。期限を超えると腐敗等により安全に食べられなくなります

  • 賞味期限:レトルト食品やジャムなど、品質の劣化が比較的緩やかな食品に表示されます。期限を超えてもすぐに食べられなくなるわけではありませんが、変色や酸化により品質(おいしさ)が低下します

賞味期限の正しい設定方法

賞味期限は勘で決めるのではなく、客観的な評価に基づいて設定します。 製造直後の食品を保管し、想定される保存期間の間に一定間隔(製造日、25日、50日、75日、100日など)で以下の3つの検査(評価)を行います

  1. 理化学検査:粘度、pH、酸化などの性状評価

  2. 微生物検査:一般生菌数や大腸菌群など、安全性に影響を及ぼす菌の評価

  3. 官能検査:味、香り、食感、色などの「おいしさ・見た目」の評価

これらの検査で異常が確認されたり、官能評価の点数が基準(例:5点満点中3点)を下回った時点を「賞味期限限界値」と定めます。そして、その限界値の日数に「0.7〜0.8の安全率」を掛けた日数を、実際の賞味期限として余裕をもって設定します。 また、微生物の増殖が抑えられていても、時間経過に伴う「赤色の退色」や「褐変」といった外観の変化が起きるため、見た目の品質保持期間にも注意を払う必要があります。なお、温度を上げて劣化を早める「加速試験」は色の変化の確認には有効ですが、微生物は高温で死滅してしまう可能性があるため、菌の検査には使えないという科学的な注意点も解説されました。

今後の展開と手厚い伴走サポート体制

次回(10月6日・7日)のセミナーに向けて、参加者には「デザイン企画シート」の提出と、可能であれば「試作品」の持参が課されました。 講師からは「試作品は自宅のキッチンで作ったレベル(営業許可前)で全く問題ありません。次回、専門の測定器(pHメーターや水分活性測定器)を持参するので、実際に測りながら保存性のアドバイスをします」と超実践的なサポート内容が示されました。

さらに、セミナー終了までの期間中、LINEグループを活用して講師陣(野口氏・松本氏)へいつでも個別に直接相談できる体制が整えられており、9月中旬にも進捗確認のフォローが入るなど、年度内の商品化に向けた徹底的な伴走支援が約束されました。

また、閉会にあたり事務局の平井様からは、前日の検討会で出た事業者からの不安の声に対し、「まだ何も決まっていないからこそ、細かい心配事が出るのは当然です。皆さんの懸念を一つひとつしっかりクリアにし、町長のジャッジも含めて丁寧に進めていくので安心してください」と力強い言葉が送られ、2日間にわたる熱気あふれるセミナーが締めくくられました。

(※なお、8月26日・27日には先進地の事例を学ぶため、参加事業者による東京都・千葉県への視察研修が予定されています。)

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