2026/09/17

【地区懇談会レポート】本郷地区
地域複合営農の見直しに
関する意見交換
【地区懇談会レポート】
本郷地区
地域複合営農の見直しに
関する意見交換

令和8年7月9日(木)、本郷公民館にて「本郷地区懇談会(地域複合営農の見直しに関する意見交換)」が開催されました。

本懇談会は、飯島町における地域複合営農の現状や将来的な見直しに向け、本郷地区の住民の皆様から農地維持、担い手育成、特定農業法人、関係人口、有機農業、収益性、草刈り、CSA(地域支援型農業)などに関する生の意見を聴取し、今後の「地域計画」策定の検討材料とすることを目的として行われました。

会の前半では現状の地域複合営農の見直し状況や課題に対する施策についての情報共有と、持続可能な農業農村検討委員会での協議内容についての報告が行われ、町民向け「悉皆(しっかい)調査」について重点的な説明がなされました。

会議概要

  • 会議名:本郷地区懇談会

  • 開催日:令和8年7月9日

  • 時間:18時30分から20時

  • 会場:本郷公民館

  • 議題:地域複合営農の見直しに関する意見交換

主な意見と整理事項(本郷地区)

本郷地区の懇談会では、草刈り負担の構造的転換、世代交代のリアル、本郷農産をはじめとする地区内の大規模個別経営体との連携など、本郷地区ならではの深い議論が行われました。

農業・地域活動に関する現状と世代交代

【住民意見】

田んぼを預かる際に中の作業は請け負うが草刈りだけお願いする形を取っており、将来高齢農業者がいなくなった際により大きな問題となり得る。親が高齢となり代わりに畑作業を担っているが、親世代からの指摘もあり世代交代の難しさを感じる。一方で地域に関わり取り組む楽しさもある。

【回答・整理】

草刈りの課題、そして親世代の思いが残る一方で実作業を担う世代への移行が進んでいる。家族内の役割分担を整理し、無理なく継承していくかが課題である。

本郷地区の暮らしや地域の魅力

【住民意見】

スーパー等は多くないが、のどかな環境、孫と過ごす時間、自分のペースで進められる農作業、人柄の良さなど暮らしやすさがある。女性グループで六次産業化に取り組む仲間とのつながりや楽しさも話題となった。

【回答・整理】

生活の利便性だけでは測れない地域の価値があり、助け合いの風土が暮らしを支えている。六次産業化は魅力を生かす一方、経営面への接続が今後の課題である。

若者・現役世代への情報発信

【住民意見】

説明資料が高齢化や担い手不足などの課題中心で前向きな発信が不足している。危機感だけでなく農業や地域に関わる楽しさ、充実感、関わり方の柔らかさも伝えるべきである。

【回答・整理】

危機感の共有だけでは参加の入口が狭くなるため、楽しさや関わりやすさを伝える発信が重要である。会社勤めの人にも「少し関わってみる」選択肢を提示することが必要である。

農業機械・農地継承に関する課題

【住民意見】

55歳で早期退職し親の農地と機械で農業を開始した。区画拡大により機械保有が前提条件となる中、農地があっても高額な機械がなければ自力継続は難しく、新規参入のハードルが高い。

【回答・整理】

高額な農業機械の個人保有には限界があるため、担い手法人への作業委託や共同利用を含め、機械と農地の継承をどう支えるかが重要な論点である。

担い手法人・地域営農組織との関わり

【住民意見】

地域には営農組合や担い手法人があるが、その仕組みの中に自分の姿が十分に見えてこなかった。家族法人(約21ha)経営者からは他地区からの依頼等で面積が増えている実態も共有された。

【回答・整理】

担い手法人、個別法人、家族法人、兼業農家など多様な経営体が存在する中で、それぞれの役割と位置づけを見える化し、どうつなぐかが課題である。

移住者・地域外人材の受入れ

【住民意見】

地域を盛り上げる人材と農地・地域を守る人材の両方が必要。IIJIMA AGRI CAMPへの期待や、地域おこし協力隊・インターン・有機農業実践者の定着事例が共有された。

【回答・整理】

移住だけに期待せず、体験・交流を入口に地域への理解と定着につなげる段階的な担い手育成の導線が必要である。

高齢農業者の現状と限界

85歳の参加者より、息子は会社勤めで自分が2町歩(2ha)の稲作の水管理や土手草管理を背負っており限界を感じている。体験イベントによる受入れ側の負担増への心配も出された。

【回答・整理】

高齢農業者が水管理や草管理を背負い続ける形には限界が近い。体験や交流を進める際も受入れ側の負担軽減を考慮する必要がある。

自分の農地を守る意識と米の販売

【住民意見】

「自分の農地は自分で守りたい」思いがあり、自分で作った米・野菜を食べ、米の約半分は個人販売している。できる限り農地を守って頑張りたい。

【回答・整理】

農業の継続は収益だけでなく自家消費や地域との関係性に支えられており、農地を守る意識が継続の原動力となっている。

兼業農家・週末農業の現状

【住民意見】

役場勤務のかたわら週末に農業を行い、今年から一部の田んぼの作業を本郷農産へ依頼している。機械を大事に使いながらあと10年程度を目安に続けたい。

【回答・整理】

週末農業や兼業農家は限られた時間で農地維持を支えている。既存の集落営農を基盤としつつ作業の一部を委託する形が現実的である。

移住・体験・関係人口づくり

【住民意見】

農業や地域に関心を寄せる人材は、地域外にも一定数存在するのではないかという指摘がなされました。単発のイベントや体験にとどめず、関係人口から移住・定着へとステップアップを促す「段階的な受け入れの仕組み」の必要性が共有されました。

【回答・整理】

体験・交流から継続的な関係を築き、関係人口を「来て終わり」にしない設計が課題である。

大規模農業者・個別経営体と営農組合の関係強化

【住民意見】

本郷地区には本郷農産のほか、塩澤氏や斉藤氏など大規模に農業を行う経営体が複数存在する。今後の地域農業には本郷農産だけでなく、これら大規模農業者や個別経営体との関係を整理し、営農組合との連携を強化すべきである。

【回答・整理】

地域全体の農業を支えるには単独の法人だけでなく多様な経営体を束ねる役割分担が必要であり、関係性を明確にすることが重要である。

小規模兼業農家の現状と農地維持機能

【住民意見】

小規模兼業農家として田起こし・田植え・苗づくり・収穫などを本郷農産(機械利用組合時代から)に依頼し、自らは水見と草刈りを中心に60aの農地を維持している。家族の米が獲れ農地が守られ、職場で作りすぎた野菜を喜んでもらえることが楽しみである。

【回答・整理】

小規模兼業農家は収益追求よりも「農地維持」「家族の食料確保」「人とのつながり」を担っており、この維持機能を地域の仕組みとしてどう支え評価するかが重要である。

草刈り作業の負担軽減と発想の転換

【住民意見】

草刈りの負担は限界でありシルバー人材センターも人手不足である。定年退職者も職場の深刻な人手不足から農業の担い手として期待し続けるのは厳しい。刈る作業だけでなく、被覆植物(芝等)の導入やコンクリート畦畔整備など「刈らなくてもよい発想」へ転換すべきである。

【回答・整理】

草刈りは本郷地区全体の大きな負担であり、作業量自体を減らす工夫や「刈らなくてもよい管理方法」への発想転換が必要である。退職世代依存からの脱却も求められる。

今後の参考事例・成功事例への期待

【住民意見】

次につながる可能性のある芽や前向きな事例を収集・共有し、目標設定に結びつけて地域の人材を引きつけてほしい。

【回答・整理】

実践事例・成功事例を見せながら、前向きな人を巻き込む目標設定を行うことが重要である。

本郷地区の懇談会で整理された8つのポイント

本郷地区の議論を通じ、以下の8点に意見が整理されました。

  1. 世代交代の丁寧な設計:親世代の継続意欲と子世代の生活基盤のギャップを踏まえ、世代交代の進め方を丁寧に設計する。

  2. 農機具・農地の継承支援:農機具の個人保有の限界に対し、共同利用・作業委託・担い手法人連携で継承を支える。

  3. 多様な経営体の役割整理:担い手法人、個別法人、家族法人、兼業農家など、本郷地区に存在する多様な経営体の位置づけと役割を整理する。

  4. 楽しさを伝える広報:危機感の共有だけでなく、農業や地域に関わる楽しさ、充実感、暮らしやすさを現役世代へ発信する。

  5. 体験から定着への導線:単発体験で終わらせず、体験から定着、さらに担い手化へつなげる段階的な導線をつくる。

  6. 農地維持機能の評価:高齢農家や小規模兼業農家が担う「農地維持」「自家消費」「地域との関係性」という価値を捉え直す。

  7. 「刈らなくてもよい」管理への転換:草刈り・水管理の人的対応の限界を受け止め、作業量を減らす発想転換を推進する。

  8. 農業の多面的価値の捉え直し:収益性だけでなく、人との関係性、地域を守る意識、働く楽しみを含めて農業の価値を捉える。

本郷地区の今後の検討課題

本郷地区における今後の課題として、以下の6点が確認されました。

  1. 多様な経営体の役割分担の可視化:本郷地区における農地継承、担い手法人、個別経営体(塩澤氏・斉藤氏等)、兼業農家の役割分担を分かりやすく整理する。

  2. 関係人口の定着スキーム:体験・交流・インターン・協力隊等を活用し、担い手へつなげる仕組みを具体化する。

  3. 「刈らなくてもよい」草刈り対策:草刈り・水管理について、担い手の人的負担を軽くする方法や「刈らなくてもよい管理手法(被覆植物等)」を検討する。

  4. 小規模兼業農家の維持機能の支援:小規模兼業農家が担ってきた農地維持機能を、地域の仕組みの中でどう支えるかを整理する。

  5. 前向きな情報発信の強化:危機感の共有に加え、農業の楽しさや地域の魅力を伝え、前向きに関わる人材を呼び込む。

  6. 地区内連携と成功事例の蓄積:本郷農産だけに依存せず、地区内の多様な経営体を含めた体制づくりと成功事例の蓄積を進める。

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