2026/09/14

【第2回持続可能な農業農村検討委員会】
伝統の「飯島型農業」を次世代へ。
持続可能な地域複合営農の再構築へ向けたレポート
【第2回持続可能な農業農村検討委員会】
伝統の「飯島型農業」を次世代へ。
持続可能な地域複合営農の再構築へ向けたレポート

令和8年7月6日(月)13:30より、「第2回 令和8年度 持続可能な農業農村検討委員会」が開催されました。

人口減少や高齢化が進む中においても、飯島町の強みである「食・花・農」を守り、次の世代へ持続可能な形で継承していくための基盤づくりを目指す本プロジェクト。

今回の検討委員会では、東京大学の安藤光義教授による特別講演をはじめ、秋に控えるIIJIMA AGRI CAMPの準備状況、全町的な地区懇談会の開催計画、全町意向調査の全容、関東農政局の農林業センサス分析、福井県鯖江市の広域連携事例、そして飯島町が目指す「理想とする全体図(地域複合営農ブラッシュアップのビジョン)」の共有などの協議が交わされました。

参加メンバー

  • 会長

    酒井富夫さん(富山大学名誉教授)

  • 副会長

    竹澤秀幸さん

  • 東京大学 教授

    安藤光義さん

  • 外部有識者

    岩崎史さん

  • 上伊那農業協同組合関係者

    下島芳幸さん

  • 地区営農組合関係者

    斎藤久夫さん

  • 外部有識者(上伊那農業農村支援センター所長)

    倉田庄一郎さん

  • 関東農政局長野拠点

    宮川健一さん

  • 関東農政局長野拠点

    北原孝康さん

  • 飯島町産業振興課

    齋藤鈴彦さん

  • 飯島町産業振興課

    伊藤淳さん

  • 飯島町産業振興課

    平井慎太郎さん

  • 飯島町産業振興課

    岡田孝章さん

  • 株式会社和郷

    髙橋義直さん

  • 株式会社和郷

    角田さやかさん

  • 見える化担当

    三浦亮さん

講演会|集落営農の現状と今後の方向性ー各県の動向と広域連携に向けての動きー

東京大学 教授 安藤光義氏

日本の水田農業・土地利用型農業を支えてきた「集落営農」が直面している構造的な課題(高齢化、機械更新の資金難、低収益性等)を踏まえ、全国各地で進む組織再編や広域連携、法人化の動向についてご講演をいただきました。1つの集落だけで維持する従来モデルからの転換や、多面的機能支払組織・RMO(地域運営組織)等との連動による持続可能な地域づくりの視点など、飯島町の今後の歩みにとって極めて示唆に富む知見が共有されました。

「IIJIMA AGRI CAMP」進捗報告

地域外からの新たな人材呼び込みや関係人口の創出、さらには将来の就農・移住のきっかけづくりを目指すプログラム「IIJIMA AGRI CAMP(アグリキャンプ)」

会議では、現在構築中の特設Webページ(WAC公式特設サイト)の構成画面を公開しながら、募集体制や今後のプロモーション計画、受入体制の事前準備に関する途中経過の説明が行われました。

地区懇談会の内容

7月7日(火)〜10日(金)の4日間にわたり、町内4地区(飯島・田切・本郷・七久保)で順次開催される「地域複合営農の見直しのための地区懇談会」の事前共有が行われました。農家・非農家を問わず住民参加型で実施され、以下の4テーマを中心に生の声を聞く計画が確認されました。

  • ① 担い手育成について(特定農業法人の育成、経営体体制強化、地区農業の中心的人材の確保)

  • ② 地産地消(地域食糧安全保障)について(CSAの説明、農業者と消費者の連携、半農半X・町外関係人口の必要性、家庭菜園・非農家の関わり)

  • ③ 新たな草刈り連携のあり方について

  • ④ 農村の活性化と継承に向けた地域運営組織(農村RMO)について

悉皆調査アンケート内容(全町意向調査)

地域計画の見直しと地域複合営農のブラッシュアップに向け、10年後の「子どもたちが帰りたくなる飯島町」をつくるための全町アンケート「地域複合営農の見直しのための悉皆意向調査」の実施計画が示されました。全町民・団体等を対象に施されます。

  • 調査票A(農地所有・農業経営者向け) 経営タイプ、耕作面積、後継者の有無、共益制度等の活用状況、10年後の経営意向(拡大・縮小・離農・維持)等を調査。

  • 調査票B(農地所有・非耕作農家向け) 所有面積、貸付地・耕作放棄地の状況、草刈り協力意向、自家菜園の取り組み等を調査。

  • 調査票C(農地非所有・家庭菜園実施町民向け) 菜園面積、栽培作物、環境保全型農業への関心等を調査。

  • 調査票D(農地非所有・非農家町民向け) 地域農業への関わり(手伝い・雇用・加工・草刈り・購入等)、新たな農産加工事業への参加意向、畦畔草刈りの対応可否、町内産コメの購入意向、環境保全型農業や有機農業への参画意向等を調査。

  • 調査票E(一般法人向け) 町内団体の基本情報(業種・従業員数等)に加え、現在の地域農業との関わり(農業生産、作業受託、草刈り等作業員提供、農産加工、流通、観光業、環境保全型農業等)および今後の参入・協力意向等を調査。

他地域事例:福井県鯖江市「グリーンネットさばえ」の取り組み

地域主体の農村維持モデルの先進例として、福井県鯖江市の広域活動組織「グリーンネットさばえ」の事例が紹介されました。H19年の8集落からR7年には33集落(構成員約2,299名)へと広域連携を広げた歩み、重機オペレーター等による「直営施工班」で工事費を約4割削削減した実績、大型モアを導入した「草刈隊」による効率化、ブランド米「さばえ菜花米」の特産化など、飯島町に応用できる具体的なノウハウが共有されました。

関東農政局資料「センサスに見る飯島町の農業推移」の共有と現状認識

関東農政局長野県拠点提出のデータにより、飯島町の農業経営体が393経営体(5年前比15.8%減、10年前比34.7%減)へと減少している実態が示されました。基幹的農業従事者315人のうち65歳以上が74%を占め、平均年齢は70.6歳に達するなど、超高齢化と担い手不足の客観的データをもとに議論が行われました。

「理想とする全体図」と地域複合営農ブラッシュアップの方向性

会議では、飯島町が目指すべき持続可能な農業構造として「理想とする全体図」のビジョン資料が共有され、具体的な仕組みと期待される効果が整理されました。

【飯島町が目指す「理想とする全体図」の仕組み】

  • 営農センターと地区営農組合の支援強化:地区営農組合コーディネーターを配置し、田切・飯島・本郷・七久保の各地区営農組合(専業・兼業・委託農家・土地持ち非農家)を画一的ではなく効率的・画期的な形でしっかりサポート。

  • 雇用体制強化事業:各農家の雇用体制を強化し、農業経営を安定化。農家のスキルアップを図る。

  • 農業支援団体の創出と相互支援:全町民、町外者、企業、学生など多様な主体が登録・参加できる「農業支援団体」を形成。草刈り等の農業関連業務を支援団体が担い、農家側は「IIJIMA AGRI CAMP(IAC)」や就農体験・研修を通じてノウハウ伝授や協力を行うという「相互支援・連携」の循環を構築する。

【期待される4つの効果】

  • ① 担い手の負担軽減:草刈り等の農作業に多様な人材が関わることで、中心的な担い手の過重労働を軽減。

  • ② 多様な担い手への接続:農業に入りやすい仕組みをつくることで、新規就農・半農半Xなど「多様な担い手」へのステップアップを促進。

  • ③ 関係人口の拡大:町内外の多様な人々が関わることで、飯島町への関心と関係人口を創出。

  • ④ 農村環境の保全:持続可能な農業体制を確立し、美しい農村景観や農地を未来へ保全。

「いいじま農業農村ビジョン」スローガンの検討

飯島町が目指すべき未来の農業・農村の姿を、町民をはじめ内外へ分かりやすく力強く示すための「いいじま農業農村ビジョン」のスローガン案について意見交換がなされました。

その他の検討課題

  • 飯島型農業構造路線と地域農業構造の現状:町が推進してきた独自の路線の歴史と成果を検証。

  • 多様な担い手の現状と課題:専業農家に限らず、新規就農者、女性、半農半X、町外関係人口など多様なプレイヤーの参画・定着に向けた課題を整理。

  • 担い手路線の検討:将来にわたって地域全体の農地や生産基盤を誰がどのように経営・維持していくのか、実直な選択肢を協議。

会議内容要約

 持続可能な農業・農村モデル再構築検討委員会 会議概要

■ 基本情報

  • 案件:令和8年度飯島町輝く農山村地域創造プロジェクト事業 持続可能な農業・農村モデル 再構築検討業務

  • 日時:令和8年(※4月〜5月度開催)13:30〜15:00

  • 出席:持続可能な農業農村検討委員会 本会委員、オブザーバー、事務局(詳細アジェンダ参照)、株式会社和郷

■ 協議・進捗報告内容

1. 新着任委員の紹介と実践事業の進捗報告

  • 雇用体制強化事業:町内60経営体へ案内後、4月8日に説明会を開催。参加意向を示した生産者13件(4法人のうち1法人含む)で3月末に申請完了。7月採択予定。

  • IIJIMA AGRI CAMP:大都市圏、信州大学、楽天社員等をターゲットとした関係人口創出プログラム。JA上伊那飯島支所の食育事業との連動を検討。研修内容に草刈り要素を紐付け。

  • 草刈組織(名称未定):米づくりに専念するための草刈り受託組織の提案あり。自立的な事業化に向け、和郷と連携して損益分岐点把握のための試験的実証(データ収集)を開始。地域おこし協力隊の活用も視野。

2. ロードマップおよびスケジュール

  • 3か年計画の方向性を共有(R7:ヒアリング・課題整理、R8:方向性具体化・試行的取組、R9:具体策決定)。

  • 業務を「地域の循環」と「健康の循環」の2軸に分類して推進。

  • 今後は「検討段階」から「実行段階」へ移行し、スケジュールやロードマップの表現も実行を意識したものへ随時改定。

3. 地域計画の実効性を高める「悉皆調査アンケート」の実施案

  • 対象拡大:町外居住者を含む全農地所有者への悉皆調査に加え、町民全世帯(一般町民)を対象とする先進的な方針を決定。地元企業向けアンケートの有効性も議論。

  • 項目分離:農地所有者・農家向け(10年後の営農意思など担い手把握)と、一般町民向け(CSA的観点、町内への農産物安定供給など)で内容を分けて設計。

  • 実施時期・手法:7月上旬の地区懇談会と同時期に実施。Googleフォームと紙媒体を併用。回収データは毎年見直す地域計画の基礎データとして活用。

4. 地域運営組織(RMO)と特定農業法人制度の論点

  • 田切地区営農組合での取り組み経緯を踏まえつつ、町全体での方向性定義が急務。

  • 「農村RMO」と「農村のRMO」の定義・入口の違いについて、本年度後半の議論に向けた予備知識の資料共有。

  • 特定農業法人制度(特定農用地利用規定)の5年延長の有無、制度的位置づけの更新状況について、役場にて持ち帰り確認。

5. 大学連携と全体方針(スローガン)の策定

  • 大学側(信州大等)のカリキュラムは本年度確定済みのため、意向調査・情報共有を継続しつつ、来年度に向けた「主催者を育てる」連携を検討。

  • 各論に終始せず、営農センターが40年間積み上げた歴史を踏まえた大きな目標を共有するため、第3回検討会にて「全体スローガン」を設定する計画。

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