2026/07/06
【第1回環境保全部会】
「理想」から「流通」へ。飯島町の環境保全型農業をリスタートする、熱き「環境保全部会」が始動!
【第1回環境保全部会】「理想」から「流通」へ。
飯島町の環境保全型農業をリスタートする、
熱き「環境保全部会」が始動!
令和8年5月19日、飯島町の「輝く農山村地域創造プロジェクト」の一環として、新たに組織された「環境保全部会」の第1回会合が開催されました。昨年度まで行われていた全体検討委員会の部会という位置づけのもと、委員やオブザーバー、役場、JA、そして専門家が集結。
飯島町が過去に掲げた高い理念を振り返りつつ、農家の経営、現場の技術、そして生物多様性のブランド化まで、2時間にわたり極めて具体的で濃密な議論が交わされました。

参加メンバー
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会長
酒井富夫さん(富山大学名誉教授)
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副会長
竹澤秀幸さん
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認定農業者
紫芝勉さん
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その他町長が認めたもの
馬目葉二さん
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その他町長が認めたもの
米山富和さん
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その他町長が認めたもの
大島悟さん
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移住農業者
堀川克己さん
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JA上伊那営農経済部
重盛俊弥さん
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JA上伊那営農経済部
米山真さん
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上伊那農業農村支援センター
片桐直樹さん
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飯島町
伊藤淳さん
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飯島町
平井慎太郎さん
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飯島町
岡田孝章さん
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株式会社和郷
髙橋義直さん
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株式会社和郷
角田さやかさん
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見える化担当
三浦亮さん
有機限定ではない「間口の広い」推進
飯島町には、かつて計画(パート3)で示された「自然を守るためには人の手を加える必要があり、農業こそが自然保全の役割を担う」という自然共生農場づくりの強い理念がありました。また、2000〜2010年代の「アグリネーチャー活動期」にも環境保全型農業の拡大を目指しましたが、普及には至らず、その後は減少傾向が続いてきました。
その最大の原因は、「技術的課題」「高齢化」そして「労力に見合う収入が得られないこと(経営問題)」です。
この歴史的背景を踏まえ、新設された環境保全部会では、「最初から有機農業に限定しない」という現実的な方向性を打ち出しました。まずは間口を広げ、特別栽培米などに取り組みやすい体制づくりからアプローチしていきます。
特産米「越百黄金」が抱える現状と課題
飯島町が推進する「1000ha自然共生農場」の更なる充実に向け、現在、特別栽培米である「越百黄金(こすもがおうごん)」が重要なステップとして位置づけられています。
しかし、その現状には以下のようなリアルな数字と課題があります。
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現在の規模: 栽培面積は3,060a(約30.6ha)、155筆程度。これは町内水稲全体の約15%を占める。
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JAの受入能力: 施設(カントリーエレベーター等)の兼ね合いから、現状は約30ha(3,300俵)が枠組みの目安。ロットが少ないため、施設での取扱いの難しさがある。
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収量とコスト: 販売単価はAランク米より500円程度高いものの、かつて10俵程度あった収量は現在平均9俵程度に減少(減農薬の成績が良い生産者が残っている状態)。肥料費は高いが農薬費を抑えられるため、総合的なコストはなじみの慣行栽培と同程度。
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生産者の意識: 近年は草管理技術が進歩し、雑草管理の困難さは軽減している。一方で、「手間がかかる割に高く売れない」という認識や、過去の失敗経験から敬遠する生産者もまだ多い。
部会では、草刈り管理レベルをランク付けし、「レス50(農薬5割削減)」を達成することで「越百黄金」を名乗れる仕組みなど、生産者のモチベーションを高める新たなルール案も議論されました。
カメムシ防除と「生物多様性ブランド」の両立という葛藤
飯島町が長年蓄積してきた「生き物調査」の実績は大きな財産です。新潟県長岡市の事例(オタマジャクシ等の小さな生物でもブランド化に成功している例)を参考に、生き物指標を活用したラベル化の可能性が話し合われました。
しかし、ここには農協(JA)としての切実な指導方針との葛藤があります。 お米の品質(一等米比率)を下げる最大の要因である「カメムシ被害」を防ぐため、JAとしては周辺の草刈り徹底や防除剤の使用を推奨せざるを得ません。環境配慮型農業を行う人を否定するわけではないものの、「生き物の共存」と「カメムシ被害の減少」を両立する絶対的な良案がないため、指導方針を変えにくいというリアルな現状が吐露されました。
また、町に生息する絶滅危惧種「ミヤマシジミ」の保全環境を生物多様性の象徴(フラッグシップ)として広域的なブランドに活用する案や、点在する取組を「面的にエリア化」し、隣接する農地間で農薬散布の時期(羽化時期の回避など)を情報共有する仕組みの必要性も指摘されました。


「理想」を売るための出口戦略とアグリビジネス
生産拡大に不可欠なのは、生産技術以上に「販売・マーケティングの強化(流通)」です。 部会では、近隣の松川町の取組を参考に、「学校給食での活用」や「道の駅出荷者の巻き込み」を最初の入り口として検討すべきだという意見で一致しました。
また、実際に有機農業を行いながら「農泊」「肥料販売」「無農薬栽培指導」などを組み合わせ、複数の収入軸(アグリビジネス)を構築してファンを獲得している実践者の事例も紹介され、こうした事業者をフラッグシップとして位置づける方針が示されました。
今後は、現町長が課長時代に提唱した「ミヤマシジミ米(当時はロゴ制作までで広域展開に至らず)」の基準と、現在の「越百黄金」との違いを今一度整理し、地域内流通・広域流通・ECを含めた総合的な流通システムを構築していきます。


今後の進め方(次回検討課題)
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「ミヤマシジミ米」の基準や「越百黄金」との違いの詳細確認。
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JAの国(みどりの食料システム戦略等)の有機施策対応部署へのヒアリング。
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流通システム(地域内流通・広域流通・EC等)の具体的検討。
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生き物指標のような多面的価値について、他の可能性の検討。
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次回開催予定:2026年7月6日(月)18:30〜
会議内容要約
■ 概要
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日時:2026年5月19日(月)18:30〜20:00
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案件:令和8年度飯島町輝く農山村地域創造プロジェクト事業 環境保全型農業の推進検討業務
■ 協議内容
1. ロードマップと推進方向性
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令和7年度の現況調査・課題整理(ヒアリング等)をベースに、令和8年度からは具体的施策の検討フェーズへ移行。
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有機農業に限定せず、特別栽培米などを含めた幅広い視点で、多くの農家が取り組みやすい体制を構築。
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生産拡大には「販売・マーケティング(流通)」の強化が不可欠。松川町を参考に、学校給食や道の駅との連携を最初の入り口として検討。将来的には人材育成も視野。
2. 環境保全型農業の歴史と「越百黄金」の現状
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過去の「自然共生農場づくり(計画パート3)」の理念は高かったが、実現手法の構築が課題だった。
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アグリネーチャー活動期以降、拡大に至らなかった要因は「労力に見合う収入の不足」「高齢化」「技術的課題」。
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特別栽培米「越百黄金」の現状:
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栽培面積3,060a、155筆程度(水稲全体の約15%)。
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JAの施設受入能力による枠組み目安は約30ha(3,300俵)。小ロットのためカントリーエレベーターでの取扱いに難しさ。
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販売単価はAランク米より約500円高いが、収量は平均9俵程度(以前は10俵)。
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コストは慣行栽培と同程度。草管理技術は進歩しているが、過去の失敗経験等から敬遠する農家も多い。
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新案として、草刈り管理のランク付けや「レス50」達成で越百黄金を名乗れる仕組みを検討。
3. 生物多様性のブランド化と現場の葛藤
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町の財産である「生き物調査」を活用した独自ラベル化(長岡市のオタマジャクシ等の事例を参考)を模索。
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一方、JAとしては一等米比率低下を防ぐため、カメムシ対策(草刈り徹底・防除剤使用)を推奨せざるを得ない立場。生き物共存との両立案の構築が急務。
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絶滅危惧種「ミヤマシジミ」の保全環境を生物多様性の象徴(フラッグシップ)として広域的ブランドに活用する提案。
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点在的な取組から、生物の生息地に応じた面的なエリア化を検討。隣接農地間で羽化時期の農薬回避など情報共有を模索。
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米だけでなく、高度な農薬・肥料技術を持つ果樹農家との連携も必要。
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現町長が課長時代に提唱した「ミヤマシジミ米」と、現在の「越百黄金」のブランド再整理の必要性を確認。
4. アグリビジネスと成功事例の水平展開
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有機農業に加え、農泊、肥料販売、無農薬栽培指導など、複数の収入軸を持つ実践者を「フラッグシップ」に位置付け。
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一度に全体を有機化するのではなく、成功事例を積み上げて発信し、大多数のそうではない層へ働きかける手法を重視。
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