2025年10月6日、飯島町役場にて「輝く農山村地域創造プロジェクト」の第2回検討委員会が開催されました。 飯島町が全国に先駆けて取り組んできた「集落営農」と「共益制度」。国の施策とは一線を画し、独自の道を歩んできた飯島町の農業がいま、大きな転換期を迎えています。
会議の概要
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日時:2025年10月6日(月) 18:30〜20:00
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場所:飯島町役場
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案件名:輝く農山村地域創造推進事業[持続可能な農業・農村モデル再構築検討業務]①地域ぐるみの農業体制再構築
参加メンバー
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会長
酒井富夫さん(富山大学名誉教授)
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副会長
竹澤秀幸さん
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検討会メンバー
福井守さん
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検討会メンバー
森谷美由紀さん
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検討会メンバー
有賀美和さん
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検討会メンバー
小林富夫さん
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検討会メンバー
塩澤正登さん
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検討会メンバー
高橋豊さん
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検討会メンバー
酒井裕司さん
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アドバイザー
齋藤久夫さん
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オブザーバー
織田和洋さん
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オブザーバー
橘田勲さん
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オブザーバー
坂本舜太さん
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オブザーバー
岩﨑史さん
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オブザーバー
齋藤勝晴さん
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飯島町産業振興課
齋藤鈴彦さん
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飯島町産業振興課
伊藤淳さん
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飯島町産業振興課
平井慎太郎さん
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飯島町
市村國洋さん
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飯島町
堀内恵未さん
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飯島町
堀内一真さん
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飯島町産業振興課
成澤かおりさん
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株式会社和郷
髙橋義直さん
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株式会社和郷
角田さやかさん
データの「見える化」:飯島町が守り抜いた「離農の抑制」
会議の冒頭、酒井会長より、飯島町の農業体制が過去40年間にわたって果たしてきた役割について、統計データを用いた説明がありました。
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全国平均を上回る農家維持率:1985年頃から始まった飯島町の集落営農の取り組みは、全国や長野県全体と比較しても、農家数の減少率を低く抑えることに成功しています。「飯島型システム」が、離農のテンポを緩やかにする一定の効果を上げていることが立証されました。
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担い手法人への集積現状:現在、地区耕地の約5割が担い手法人へと集積されています。特に田切地区・本郷地区での集積率が高く、法人が地域農業の核となっています。
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最大の課題は「水管理」「草刈り」:町として維持してきた「共益制度」は全国でも類を見ない事例ですが、現在は水路や畦畔の草刈りが持続可能性の大きな壁となっています。
検討委員による意見交換:現場から溢れる「切実な現状」
意見交換では、各委員から自身の経営状況や地域の将来に対するリアルな思いが語られました。
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有賀美和 さん:アリストロメリアを栽培しているが、周りの農家が減っている。少子高齢化で後継者がおらず、個人経営者は減少の一途をたどりそう。法人化の必要性は感じているが、踏み切る難しさもある。
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小林富夫 さん:中山間地で畦畔の傾斜が厳しく、水も冷たい。米以外のものも必要だが難しく、面積を集約して法人化した方が良いのかもしれないと危惧している。
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森谷美由紀 さん:バラと米を栽培。バラが中心のため米は営農組合に任せている。とにかく「働き手」が欲しい。営農組合に田んぼを担ってもらえるのは非常に助かっている。
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塩澤正登 さん:米価上昇で作業委託の依頼が増え、自身の作業が後回しになるほど。中途半端な規模でも小さい農家を面倒見てあげる仕組みが必要。町には担い手法人以外にも農地の受け手がいるのではないか。
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高橋豊 さん:家族3人で果樹を経営。息子が就農し規模拡大しているが、人工授粉用の花粉が輸入できないなどの問題がある。果樹には試験場並みの高度な技術が必要だが、教育機関も定員割れしており先行きが不安。
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福井守 さん:鉄砲ゆり栽培のため移住。飯島町の農地貸借や畦畔の草刈りを地域で行う仕組みは素晴らしい。畦畔を取り払って作業効率を上げるなどの工夫も必要ではないか。
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齋藤久夫 さん:システム立ち上げメンバーとして、飯島町は「できるだけ農家に残ってほしい」という方針でやってきた。今後の計画(パートV)でも現状の飯島方式を守り、地域を守っていく姿勢を示してほしい。
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酒井裕司 さん:個人で動く中で後継者不足が気になる。新規就農者を呼ぶためには、組織として「儲かる仕組み」がないと続かないのではないか。
総括:飯島町の10年後をどう描くか
酒井会長は議論を総括し、「国の路線(大規模化・集約化)を取るか、地域の人たちをベースにしたこれまでの路線を貫くか、自分たちで結論を出していく必要がある」と強調されました。
地域計画は一度作って終わりではなく、1年ごとに更新して地域にフィットさせていく。今までの「住み心地の良い飯島町」という目標を大切にしながら、機械の更新さえできれば小規模な自給者も含めて地域を守っていけるのではないか、という指針が示されました。
今後の展望
次回の検討委員会は11月10日に開催予定です。今回多くの委員から挙がった「人材不足」というキーワードに対し、事務局(和郷)からは、他地域で取り組まれている「雇用体制の強化」や「人材確保の成功事例」が紹介される予定です。
飯島町の農業が「データの面でも、住民の志の面でも、独自の価値を持っている」ことを再確認した今回の会議。その「飯島らしさ」を次世代へつなぐための具体的な制度設計が、これから加速していきます。
議事内容要約
- 会議概要
(1) 日時:2025年10月6日(月)18:30〜
(2) 場所:飯島町役場
(3) 案件:輝く農山村地域創造推進事業[持続可能な農業・農村モデル再構築検討業務]
①地域ぐるみの農業体制再構築(検討会2回目)
(4) 出席:検討委員・アドバイザー・オブザーバー・事務局・委託業者(㈱和郷) - 進捗報告(事業スケジュール)
(1) 訪問先計画および日程調整の進捗を共有 - 協議事項①:飯島型システムの到達点(離農テンポ/経営主体の現状)
(1) 国の「農地集約・規模拡大」路線とは異なる、飯島町の共益制度と集落営農の特色を整理
(2) 離農テンポ(農家減少率)は、全国平均より長野県が低く、飯島町はさらに低い傾向として提示
(3) 1985年前後(農家定義変更の時期)と、飯島町の集落営農開始期が重なる点に着目
(4) 地区耕地の経営主体データから、農地の約5割が担い手法人へ集積している状況を共有(田切・本郷が高い)
(5) 最大の問題として「水管理と草刈り」を明示(共益制度は全国的にも希少な事例) - 協議事項②:地域農業・農村についての意見交換(主な論点)
(1) 後継者不足・高齢化により個人経営が減る懸念、法人化の必要性は感じるが踏み切れない声
(2) 中山間地条件(水が冷たい・畦畔の急斜等)で米以外の展開が難しい、面積集約や法人化の必要性
(3) 働き手不足が最大課題、営農組合への作業委託が支えになっている実態
(4) 米価上昇で作業受託が増え、自分の作業が後回しになる現象
(5) 小規模農家も含めた受け皿(機械更新や委託等)を面倒見るしくみの必要性
(6) 果樹などは技術・資材制約(例:花粉)や人材育成(定員割れ等)も含め、参入障壁が高い
(7) 連作障害に対応した農地貸借の仕組み、地域による畦畔の草刈り等、飯島町の地域力を評価する声
(8) 飯島町が今後「現行路線の継続」か「大規模化へ転換」か、方針を示す必要性
(9) “儲かる農業”のしくみがないと組織があっても続かない、という指摘 - 会長講評(まとめ)
(1) これまで国と異なる路線を取ってきたが、今後は地域がベースに結論を出すべき
(2) 国の支援を受けられるところは活用しつつ、地域を守る制度は作る
(3) 地域計画は作って終わりではなく、毎年更新し地域にフィットさせる必要
(4) 「何を目指すのか」が重要(従来の“住み心地の良い飯島町”の文脈を踏まえる)
(5) 次回は「多様な担い手」に焦点、12月は営農センター/営農組合のしくみを検討
(6) 1月は環境保全型農業の進捗、2月は6次産業化・加工の報告予定 - 副会長講評・事務局連絡
(1) 次回も継続参加を呼びかけ
(2) 次回開催:2025年11月10日(月)18:30〜
(3) 和郷より、人材不足の論点が多かったため、他地域の「雇用体制強化」事例紹介を行いたい旨を共有