2026/03/10

【第5回あり方検討委員会】10年後の農地維持に黄信号?
危機を乗り越える「4つのしくみ」と次世代ロードマップを協議
【第5回あり方検討委員会】10年後の農地維持に黄信号?
危機を乗り越える「4つのしくみ」と次世代ロードマップを協議

2026年1月21日、飯島町役場にて「輝く農山村地域創造推進プロジェクト」の検討委員会が開催されました。

本プロジェクトの締めくくりに向け、事務局(㈱和郷)より、ヒアリングやアンケート結果を基にした「地域複合営農再構築ロードマップ」の素案が提示されました。10年後の農地維持に関する衝撃的なシミュレーション結果も共有され、委員やアドバイザーからは町の農業の根幹に関わる鋭い提言が相次ぎました。

会議の概要

  • 日時:2026年1月21日(水) 18:30〜20:00

  • 場所:飯島町役場

  • 案件名:輝く農山村地域創造推進事業 [持続可能な農業・農村モデル再構築検討業務]①地域ぐるみの農業体制再構築

参加メンバー

  • 会長

    酒井富夫さん(富山大学名誉教授)

  • 副会長

    竹澤秀幸さん

  • 検討会メンバー

    福井守さん

  • 検討会メンバー

    森谷美由紀さん

  • 検討会メンバー

    有賀美和さん

  • 検討会メンバー

    小林富夫さん

  • 検討会メンバー

    塩澤正登さん

  • 検討会メンバー

    高橋豊さん

  • 検討会メンバー

    酒井裕司さん

  • アドバイザー

    齋藤久夫さん

  • 飯島町長

    唐澤隆さん

  • オブザーバー

    田畑尚洋さん

  • オブザーバー

    織田和洋さん

  • オブザーバー

    橘田勲さん

  • オブザーバー

    坂本舜太さん

  • オブザーバー

    岩﨑史さん

  • オブザーバー

    齋藤勝晴さん

  • 飯島町産業振興課

    齋藤鈴彦さん

  • 飯島町産業振興課

    伊藤淳さん

  • 飯島町産業振興課

    平井慎太郎さん

  • 飯島町

    市村國洋さん

  • 飯島町

    堀内恵未さん

  • 飯島町

    堀内一真さん

  • 飯島町産業振興課

    成澤かおりさん

  • 株式会社和郷

    髙橋義直さん

  • 株式会社和郷

    角田さやかさん

事務局報告:2036年、飯島町の農地の53%が「担い手不在」に

事務局より、現在策定中の「地域計画」を基にした10年後の担い手見通しが報告されました。

  • 衝撃のデータ分析:町内農地1,200haのうち、10年後に耕作者が確認できていない農地は約700haに達する試算です。つまり、町内農地の53%が耕作されないまま残される恐れがあり、全国的な傾向と比較しても、飯島町にとって決して例外ではない深刻な事態であることが浮き彫りとなりました。

  • 再構築ロードマップ(次年度の4つの柱)

    1. コーディネーター配置:地区営農組合へ配置し、営農センターとの連携・協議機能を強化する。

    2. いいじまアグリカレッジ&雇用推進:法人や農家への研修制度を構築し、社会保険労務士や求人広告企業と連携して「人手不足」への抜本的な解決策を講じる。

    3. 農援隊の組成:地主が困難な草刈り等を代行し、担い手法人の負担軽減と耕作放棄の抑止を図る。

    4. 農村RMOの構築:農用地保全・資源活用・生活支援の3機能を持ち、地域を面で守る組織を立ち上げる。

協議:委員・アドバイザーからの具体的提言と質疑

本ロードマップ案に対し、出席者からは運営の透明性や実行力に関する多角的な意見が出されました。

■ 齋藤久夫氏(アドバイザー)による抜本的提言

齋藤さんからは、委員会の設置要綱に立ち返った強いメッセージが発信されました。

「現在の委員構成で十分か、今一度振り返る必要がある。県や農協の責任者レベルも含めた専門的な議論が不可欠だ。 飯島町の農業は、大規模化だけを追うのではなく、兼業農家、女性、高齢者が支え合って守ってきたという背景がある。この小農の力を結集する視点を持ち、国・県・農協の方針と摺り合わせながら、地域計画をブラッシュアップしていかなければならない。この3年間のまとめを、令和8年度以降の具体的な推進力に繋げてほしい」

■ 会場から出された主な質疑と意見

  • 「コーディネーター」の役割について
    (委員):「コーディネーターを配置する方向性は良いが、誰が適任なのか、どのように選ぶのか。現場として不安がある」
    (事務局):「最初から全地区に配置するのは難しいため、まずは試行的に1名を置き、現場の課題を抽出することからスタートしたい」

  • 「地域住民の納得感」について
    (委員):「事務局が決定したことを説明されるだけのように感じる。地域住民が『俺は知らんよ』となってしまえば、実行段階で協力は得られない。もっと現場の意見を吸い上げる場を作るべきだ」

  • 「情報の見える化」と「発掘」について
    (アドバイザー):「他地域でもRMOは進んでいるが、飯島町ならではの情報を積極的に発信し続けてほしい。それが地域内の新たなプレイヤー発掘に繋がるはずだ」

総括:酒井富夫会長

議論を締めくくり、酒井会長より次の方針が示されました。

「本日の議論を通じて、対面での意見収集や『見える化』の重要性が再確認された。委員会の構成自体も、より実効性の高いものへ検討し直す必要があるだろう。 飯島町にはそれぞれの地区が持つ農業スタイルがある。それを活かしつつ、農村そのものを守る『農村RMO』の考え方は非常に合致している。今回出た『地域住民を置き去りにしない』という強い意見を反映させ、私が責任を持ってロードマップを修正・整理し、2月の検討会で改めて提示する」

事務局より:まとめ

第5回検討委員会は、これまでの現状調査から、いよいよ「実行」へと踏み出すための重要な転換点となりました。

10年後の「農地耕作者不在リスク53%」という現実は、もはや従来の延長線上の施策では太刀打ちできないことを物語っています。2月に予定されている愛知県豊田市の「しきしまの家」への農村RMO先進地視察なども通じ、委員・事務局が一丸となって、飯島町の独自性を活かした「人を作る・人を動かす」しくみの完成を急ぎます。

議事内容要約

  1. 会議概要
    (1) 日時:2026年1月21日(水)18:30〜20:00(第5回 持続可能な農業農村検討委員会)
    (2) 場所:飯島町役場
    (3) 案件:輝く農山村地域創造推進事業[持続可能な農業・農村モデル再構築検討業務]①地域ぐるみの農業体制再構築
    (4) 出席:検討委員、アドバイザー(飯島町長等)、オブザーバー、事務局、委託業者(㈱和郷)
  2. 協議事項(1):ロードマップ(地域複合営農再構築)
    (1) 事業成果を発信する「見える化」HPの設計状況を共有(完成度50%段階の協議用)
    (2) 1/30まで意見募集→反映してブラッシュアップ→次回2/9検討会で修正版提示予定
    (3) 農地所有者アンケートを627件発送、締切1月末
    (4) 回収率は中間で42%超と良好
    (5) 加工事業はクラウドファンディング活用で市場調査を進行、1/26の加工検討委員会で掲載情報を最終確定予定
    (6) 次年度(令和8年度)に向け「見えてきた4施策」を提示
    ① しくみ「その1」コーディネーター:地区営農組合に配置し、営農センターと連携しやすい体制を作って協議力を強化
    ② しくみ「その2」多様な関わり〜就農意識醸成
    – いいじまアグリカレッジ(体験研修で担い手法人・農業者・農援隊と接続。飯島版の研修枠組み)
    – 雇用就農の総合的推進(社労士連携で雇用環境整備+外部連携で就農関心層を獲得)
    ③ しくみ「その3」農援隊:営農センターが農地水等と連携し運営。草刈り困難な地主等で活用し、担い手負担軽減・耕作放棄の発生抑止
    ④ しくみ「その4」農村RMO:実行機能(農用地保全/地域資源活用/生活支扶助)を持つ組織づくり
    (7) 楽天とのワークショップを12月に実施し、規模拡大して実施したい意向
    (8) 令和8年度ロードマップは現時点案で、今回から協議を進め2月中に固めたい方針
  3. ロードマップへの主な意見(アドバイザー・委員等)
    (1) 委員会の設置趣旨・検討事項・人数・任期を再確認すべき(現メンバーだけでは不十分で、県・JA等の責任者レベルも含めた体制が望ましい)
    (2) 段階整理:1年目=現状調査、2年目=意向把握、3年目=具体策。農業者・地主の声を吸い上げ、課題掘り起こしが重要
    (3) 農村RMOは「農村を守る」観点で重要。研究と検討を深めたい
    (4) 飯島町は専業だけでなく兼業・女性・高齢者等が支え合って守ってきた背景を踏襲すべき。国・県・JA方針との摺合せも必要
    (5) コーディネーター案は有効だが「誰をどう選ぶか」が不安。いきなり複数配置は難しいため、まず1名で試行し段階展開が現実的
    (6) 「決まったことを説明された印象」への指摘。地域で協議し意見を吸い上げないと実行段階で住民がついてこない懸念
    (7) 信州大学より:他地域でRMO実践があり、飯島のあり方をより知りたい。情報発信を継続すると地域内プレイヤー発掘の契機になる
    (8) 今月末まで意見提出→議長一任で修正案作成→次回提示し合意形成していく整理
  4. 協議事項(2):地域計画と10年後の担い手見通し
    (1) 全国で「農地の6割が耕作者不在の恐れ」とされる状況を踏まえ、飯島町でも同様の計算を実施(地域計画データを基に試算)
    (2) 試算:10年後、町内農地約1,200haのうち約700haが耕作者未確認農地=約53%見込み
    (3) 全国よりは良いが深刻で、例外ではないという認識
    (4) 地域計画は今後もブラッシュアップされるが、注視が必要(地域計画を軽視してはいけない、という教訓)
  5. 協議事項(4):RMO先進地視察(案内)
    (1) 農村RMO先進地視察を企画
    (2) 視察先:愛知県豊田市しきしま地区(分かりやすい仕組みで参考になる)
    (3) 旅費は町負担、参加希望は2月12日締切
  6. 会長講評(まとめ)
    (1) 多様な意見が出た。委員会の構成人数(体制)から見直す必要があるかもしれない
    (2) 4年目以降はパート6および農村RMOをターゲットに据える必要性
    (3) 飯島町は各々に合った農業スタイルを活かしながら農村を守る方向が合致し、その観点でもRMOは適合的
    (4) 「見える化」だけでなく、対面で意見を集めるべきという声が強かった
    (5) 意見を踏まえ、議長がロードマップ修正整理→2月検討会で提示し了解を得つつ進める方針
  7. 次回
    (1) 次回開催:2026年2月9日(月)
    (2) ロードマップへの意見は飯島町へ提出依頼

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