2026/03/05

【草刈り隊】「人集めの素地はできている」
─ 農援隊が切り拓く、飯島町・草刈り直営部隊の可能性
【草刈り隊】「人集めの素地はできている」
─ 農援隊が切り拓く、飯島町・草刈り直営部隊の可能性

2025年11月11日、飯島町農地水環境保全管理協定運営委員会の事務局を務める杉原氏を訪ね、同委員会が試験的に運用を開始した草刈り部隊「多面的機能支払農援隊」の現状と、今後の体制構築に向けた課題を伺いました。 「交付金」という仕組みを、いかにして現場の「労働力」へと変換していくか、飯島農業の持続可能性を支える現場の挑戦を追います。

会議の概要

  • 日時:2025年11月11日(火) 13:30〜15:00

  • 場所:飯島町役場

  • 案件名:輝く農山村地域創造推進事業 [持続可能な農業・農村モデル再構築検討業務]①地域ぐるみの農業体制再構築

参加メンバー

  • 飯島町農地水環境保全管理協定運営委員会 事務局

    杉原さん

  • 飯島町産業振興課

    平井慎太郎さん

  • 外部有識者(富山大学名誉教授)

    酒井富夫さん

  • 株式会社和郷

    髙橋義直さん

  • 株式会社和郷

    角田さやかさん

運営委員会の歩み:広域化から会計一本化へ

飯島町の全農家が所属する「飯島町農地水環境保全管理協定運営委員会(以下、運営委員会)」は、時代の変化とともにその組織形態を進化させてきました。

  • 組織の合理化:かつて地区ごとに分かれていた組織を平成26年に広域化し、さらに令和元年には地区ごとの会計も一本化。町全体で効率的に水路補修や草刈りを進めるための基盤を整えてきました。

  • 交付金の独自配分:中山間地域直接支払交付金などは、営農センターの主導により、営農組合への加入を条件に「個人・集落・組合」の配分比率を各地区の特性に合わせて調整しています。例えば、七久保地区では個人への配分を重視しつつ、個人が管理しきれない部分を集落(自治会機能)がカバーする柔軟な体制をとっています。

「多面的機能支払農援隊」の誕生:50名の機動部隊

杉原氏が着実に準備を進めてきたのが、現場の草刈りを直接請け負う直営組織です。

  • 精鋭50名のネットワーク:正式名称「多面的機能支払農援隊」には、現在50名弱が登録されています。特筆すべきは、その年齢層の厚さです。10名の女性(高齢層)に加え、40名もの男性陣は40〜50代が中心。区会のOBや知人など、協力的な人材を地道な声がけで集めてきました。

  • 試験運用と現状の壁:現在は、区会で特に困っている箇所の草刈りを試験的に実施しています。しかし、営農センターが組成している既存の部隊との役割分担や調整に時間を要しており、本格始動に向けて「町の将来的な絵図(ビジョン)」を待っている状態です。

  • 実力主義の報酬体系:草刈りの報酬については、一律の時給ではなく「出来高(効率)」を加味して決定する合理的な仕組みを模索しています。

未来への展望:用途限定の「町独自の上乗せ」

今後の組織化・持続化に向けて、財政面での議論も行われました。

  • 財源の可能性:既存の直接支払に、町として「用途を草刈りや農地維持に限定した上乗せ」を行う可能性が示唆されました。使途を明確にすることで、地域を支える農援隊の活動をより強固にバックアップする仕組み作りが期待されます。

事務局より:まとめ

杉原氏のお話から、飯島町には「地域のために動ける現役世代」が、実はまだ多く眠っていることが明らかになりました。50名もの協力者を確保できている現状は、他地域にはない大きな財産です。

課題は、この「志ある個人の集まり」を、いかにして公的な「システム」へと組み込むかです。営農センターや既存組織との調整を図り、農援隊がスムーズに現場へ出動できる「公式の絵図」を町が示すこと。そして、出来高に応じた適正な報酬と町独自の財政支援を組み合わせることで、飯島の景観を守る「最強の直営部隊」が完成するはずです。

議事内容要約

  1. 会議概要
    (1) 日時:2025年11月11日(火)13:30〜15:00
    (2) 案件:輝く農山村地域創造推進事業[持続可能な農業・農村モデル再構築検討業務]
    ①地域ぐるみの農業体制再構築(草刈隊:杉原職員ヒアリング)
    (3) 出席:飯島町農地水環境保全管理協定運営委員会 事務局(杉原氏)、飯島町(平井係長)、連携外部有識者(酒井教授)、㈱和郷(高橋・角田)
  2. 農地水環境保全管理協定運営委員会の基本情報
    (1) 運営委員会には町内の全農家が所属
    (2) 以前は地区ごと組織だったが、平成26年に広域化
    (3) 地区ごとの会計も、令和元年に一本化
  3. 主な活動内容と意思決定の構造
    (1) 主な活動は水路の補修と草刈り
    (2) 草刈りは基本的に営農センターが担う整理
    (3) 直接支払交付金の扱い(配分ルール等)は、営農センター側で決めてきた経緯
  4. 直接支払交付金(多面的機能支払等)配分の考え方(地区差あり)
    (1) 平成26年に「個人でも受給できる」ようになったタイミングで、営農組合加入を条件とする整理が入った
    (2) 配分比率は「集落に何%/個人に何%」のように集落ごとに異なるが、基本方針は営農センターで決めた
    (3) 七久保は営農組合加入者が少ないため、個人に100%入る整理。未加入者分は集落に入り、集落が“個人でできない草刈り”を担う(集落=自治会的役割)
  5. 草刈隊(農援隊)の現状と経緯
    (1) 草刈隊は約3年前に農政係へ提案したが進展せず、今年は運営委員会内で直営部隊を組成し、個人農地で試験的に実施
    (2) 正式名称は「多面的機能支払農援隊」
    (3) 人数規模:全体で50名弱、各地区に6〜7名程度
    (4) 一方、営農センター側でも草刈隊を組成している話があり、重複しても仕方ないため一旦停止状態
    (5) 現在は、区会で困っている箇所など限定的に稼働
    (6) 将来の方向性(全体像)が描ければ、人集めできる素地は既にあるという見立て
  6. 報酬設計・運用上の論点
    (1) 草刈り代は出来高をベースに時給を決めている(効率が個々に違うため一律ではない)
    (2) 直接支払に町が上乗せできる可能性:用途を限定すれば可能性がありそうという示唆
  7. 担い手(参加者)属性
    (1) 女性は10名(全体として高年齢)
    (2) 男性約40名は40〜50代が中心
    (3) 参加者集めは、知り合い・区会OBなどに声掛けし、着実に積み上げてきた経緯
    (4) 今後は、この基盤を活かして仕組み化していく必要がある

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